内尾ゼミ1期生の大森有紀奈さんが2021年度 外国語学部「卒業研究コンテスト」で最優秀賞を受賞しました。
https://www.reitaku-u.ac.jp/news/research/1776168/
■「醜形恐怖症の心理的特徴と『ありのまま幻想』」
大森有紀奈(英語・リベラルアーツ専攻:内尾太一ゼミ)
本論文では、自らを醜形恐怖症と認識する人々を対象に、見た目について自他の認識が大きくズレた世界を文化人類学的に明らかにすることを目的とした。まず、オートエスノグラフィ(自伝的民族誌)として、高校時代から醜形恐怖症に苦しんだ筆者の経験を振り返り、一当事者の内面を記した。続く調査の過程で、自助グループを立ち上げ、そのオンラインセッションで初めて共通の経験をもつ人々との交流を果たした。自助グループ参加者との対話から彼らが、美醜の社会的価値観から独立した「自分」の存在を無条件に肯定すべきだ、という言説に晒されてきたことが明らかとなった。筆者はそれを「ありのまま幻想」と定義し批判的に考察を行った。
【ゼミの担当教員から】
大森さんが醜形恐怖症を卒業研究のテーマに選択したとき、私がまず思ったことは、どれくらい調査協力者が得られるだろうか、ということだった。しかし、大森さんは自らオンラインの自助グループを立ち上げることで、そのハードルを乗り越えた。そこでの対話を続ける中で、当事者なら周囲から一度は言われたことがあるだろう「ありのままでいいんだよ」という励ましの言葉の中にある抑圧的な働きを見出した。ゼミ1期生でお手本となる先輩がいない中で、同期メンバー同士で支え合いながらよく頑張って完成させてくれた思う。テーマとは裏腹に、指導教員の私にとってもコロナ禍に勇気の出る研究になった。
2022.3.29